🍂架空旅社 季節だより ― 秋号 ―
📅発行日:2025年10月12日
📍架空旅社 編集局(地球編集部・異星調査部合同)
📘シリーズ:「架空旅社通信」2025年季節報秋号
🍁はじまりの季節に
風の音がやわらぎ、街の影が少し長くなるころ。
この星も、あの星も、秋を迎えました。
旅社の資料室では、古びた地図の上に光が落ちています。
ページをめくる音と、外の風がまじり合う午後。
調査員も編集者も、それぞれの机で小さな旅の記録をまとめています。
秋は、旅が静かに始まる季節。
急がず、立ち止まりながら、風や香りを確かめて歩く。
そんな時間を、私たちは“はじまりの旅”と呼んでいます。
🗺今季のおすすめ旅先
1️⃣エーテルガルド大陸・オルタニア王国
金色の並木道が美しい古都。焼き林檎と紅茶の香りが漂う。
2️⃣ルミナリエ星域・アクシオン・リーフ
珊瑚が淡く光る季節。潮風に混じる微かな甘さが印象的。
3️⃣アルセリオ大陸・霧の谷の集落
霧が深まり、焚火の音がよく響く。詩人たちが集う夕暮れの村。

🍂特集:風の音を聴く旅
秋の風には、どこか懐かしい記憶の匂いがある。
それは、誰かの声、どこかの街角の音、そして遠くの鐘の響き。
オルタニアの鐘楼では、夕方になると空気が震え、低い音が石畳を伝って、街の隅々まで広がっていく。
ヨキ主任は言う。
「風の音は、星々を越えて同じ調べを奏でている」
旅社の廊下に吊された、しまい忘れた風鈴も、同じように鳴っていました。
🎧音の便り ― 今季の音景
・オルタニア王都の石畳を靴で叩く音(記録:サラ)
・アクシオン・リーフの潮光風(記録:ルカ)
・霧の谷の焚火のはぜる音(記録:コト)
「静けさの中に音を見つける――それが秋の旅のはじまりです」
皆様も、日常の音に耳を傾けてみてください。
きっと、季節の音が鳴っていますよ。

🎑今季のイベント・祭り
・オルタニア王国「紅葉市」:街路樹の下で焼き菓子や古書が並ぶ秋の市。
・ルミナリエ星「風灯の夜」:小さな光灯籠を風に乗せて夜空に放つ祭り。
・霧の谷「詩の晩餐」:旅人と詩人が焚火を囲み、詩を贈り合う晩。

🌇今季に見られる景色
夕陽に照らされたオルタニアの並木道は、まるで時間そのものが金色に染まったよう。
アクシオン・リーフでは、潮風の中で珊瑚の光がゆらめき、夜になると空と海の境が消えてしまう。
霧の谷の灯りは、霧を透かして花のように浮かび上がる。
これからの季節、ルミナリエでもランタンが空を舞う。
その光を見上げながら、旅人は静かに息を吐く。

🏛今季の架空旅社のようす
ルミナリエ支部の廊下では、ヨキ主任が温かい光果ティーを淹れながら、航路図を指でなぞっている。
地球の編集部では、サラが撮った霧の写真を、コトが静かに誌面に配置している。
メアは市場で拾った小さな赤い葉を原稿に挟み「秋は、どんな国にも“名残”がある季節」と笑った。
午後になると、旅社の中庭に光が差し込む。
風がひとひら、ページをめくっていった。
💬旅人の一言ノート
「ルミナリエの風灯祭、初めて見ました。光が空に消える瞬間、風の匂いだけが残って、涙が出ました」(読者・R.K.)
✏️編集後記
秋の旅は、出会いよりも“再会”に似ています。
失くしたものを探すのではなく、まだあるものを見つめ直す旅。
その時間の中に、きっと希望が宿っている。
冬号では、雪と灯りの街を訪ねます。
静かな夜のぬくもりを、あなたにも。
――架空旅社